※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。重要な契約は締結前に弁護士へご相談ください(公的な無料法律相談窓口もあります)。
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note第23回で「契約書を読まない人が失う3つのもの(権利・辞める自由・有事の盾)」を書きました。本記事はその実装編です。デジタルタレントが実際に出会う3種類の契約について、**条文のどこを見て、何と照合するか**を実例レベルで解説します。
## 共通の作法(全契約タイプ共通)
- **その場でサインしない。**「持ち帰って確認します」を定型句に(急かす相手ほど要警戒)
- 口頭の約束は「ないもの」として扱う。**大事な条件は必ず書面に反映させてから**サイン
- 不明な条文は質問する。説明を渋る相手とは契約しない
- 契約書の控え(署名済みの完全版)を必ず受け取り、保管する(管理テンプレDB4)
## タイプ1:撮影同意書・モデルリリース
カメラマンとの撮影、コラボ撮影で交わす書類です。**「同意書がない撮影」こそ最大のリスク**なので、相手が用意しない場合は自分から提示してください。
**チェックポイント**
- [ ] **利用範囲**:どの媒体で(SNS/販売サイト/印刷物)、どの目的で(販売/宣伝/ポートフォリオ)使えるか。「一切の媒体・目的」のような包括表現は範囲を絞る交渉を
- [ ] **期間と地域**:無期限・全世界か、限定か
- [ ] **著作権の所在**:原則として**写真の著作権は撮影者に発生します**。あなたが販売主体になるなら、著作権譲渡または販売利用の許諾(独占/非独占)を明記する必要があります
- [ ] **公開NG事項**:顔出しレベル・加工の可否・タグ付けの可否など、あなたの開示ポリシー(note第1回・第9回)を条文に反映
- [ ] **撤回条項**:事情変更時に公開停止を求められるか、その手続き
- [ ] **報酬・費用**:無償相互(作品撮り)か有償か。データの納品範囲と期日
## タイプ2:レベニューシェア(収益分配)契約
事務所・プロデューサー・代理店と「売上の◯%」で組む契約です。
**チェックポイント**
- [ ] **分配の母数**:「売上」とは何か——**総売上か、手数料控除後か、経費控除後か**。ここが曖昧な契約は必ず揉めます。計算例を1つ、書面に入れてもらうのが確実です
- [ ] **経費の扱い**:撮影費・広告費・ツール代は誰の負担か。「経費控除後の分配」の場合、**経費の承認プロセス**(勝手に積まれない仕組み)があるか
- [ ] **報告と監査**:売上データの開示頻度・方法。自分で数字を確認できない分配契約は結ばない
- [ ] **支払時期と遅延時の扱い**
- [ ] **範囲**:分配対象はどの収益か(全収益か、特定プラットフォームのみか)。**既存の自力収益まで分配対象に含まれていないか**は最重要チェックです
- [ ] **終了後の扱い**:契約終了後、在庫コンテンツの売上分配はいつまで続くか
## タイプ3:専属・所属契約
note第10回(事務所vsフリーランス)の判断を実行に移す局面です。同回の3点(出口・権利・取り分)を条文で照合します。
**チェックポイント**
- [ ] **契約期間と更新**:自動更新か合意更新か。更新拒絶の通知期限(「◯ヶ月前までに書面で」)をカレンダーに登録する
- [ ] **中途解約**:可否・条件・違約金の有無と金額。違約金の算定根拠が説明できない契約は危険信号です
- [ ] **専属の範囲**:何が専属か(全活動か、特定分野か)。**副業的な自主活動(自分のSNS・既存の販売)が禁止されていないか**
- [ ] **名義と権利**:活動名義・SNSアカウント・制作コンテンツの権利帰属。**「契約終了後も名義・アカウントは事務所に帰属」は、あなたという資産を置いて出る契約**です(note第23回)
- [ ] **競業避止**:終了後◯年間、同種活動を禁止する条項の有無と範囲。広すぎる競業避止は交渉対象です
- [ ] **費用とノルマ**:レッスン費・撮影費の負担、最低稼働・ノルマの有無、未達時のペナルティ
## 危険信号リスト(即・持ち帰り検討)
- その場でのサインを求める/家族・弁護士への相談を嫌がる
- 「みんなこの条件」と説明を省く
- 違約金の額・算定根拠を答えられない
- 口頭の好条件が書面に書かれていない
- 契約書の控えをくれない